☆Friend&ship☆ -序章-
静かな冷たい声。
まるで感情を失ったような…
「いった方が好都合?」
「どちらでも同じだ。いきたいかと思っただけ」
「…いいの?」
「何がだ。どちらでもいいといっているだろう」
「…」
___闇市…か
「…つくまで考えさせて」
「ああ」
___トトトト…
なんかプロ並みの微塵切りをして片手でシチューをかき混ぜるタナトス。
それを見ていたイーリスはふと疑問を感じた。
「これ、量多いんじゃない?」
見たところ三人だけのこの船。
しかし給食に使うような大きな鍋にグツグツと煮えるシチュー。
「ゼウスはああ見えて大食いなんだ」
「!?」
___嘘!あの貧弱な体つきのキャプテンが!?←
ずいぶんと酷いことを考えつつ、物凄くいい香りに食欲がわいてきたイーリス。
「お腹すいた…」
「…もう食うか?」
視線を感じたのか引きぎみに提案したタナトス。
嬉しそうにイーリスは頷く。
「…はい」
いつの間にかお皿によそられたシチューを差し出すタナトス。
同時にスプーンも差し出した。
「いただきまーす♪」
「…」
___カチャッ
「?」
「ゼウスを起こしてくる」
火を止めてスタスタと船長室(というか少しだけ豪華な部屋)に向かうタナトス。
「ダイニングに持っていって食べろ」
「ふぁーい」
はふはふしながら答えるイーリス。
タナトスは揺れる草のなかを歩いていった。