杉下家の平和な日常~姉編~
「あの~」
忘れていた弟の声が甘い空気を割る。
姿は見えなくなったが、玄関に私たちがいるのだから家を出ていたわけじゃなかった。
「いいところで申し訳ないんですが、俺バイト行かなきゃいけないんで通してください」
慌てて玄関を開けて弟を剛と二人で見送る形で家にあがり、弟は玄関に降りて、ふと思い出したように私たちを振り返る。
「あの、姉ちゃん一番にしてやってください。家でなかなか一番になれないんで」
行ってきます、を最後に投げ込んで弟は家を後にした。
残された私と剛で顔を見合わせる。
「由梨絵、何の一番になれないの?」
弟の最後発言は余計だった。自分で言わなきゃいけないことなのに。
「ちょっと家のことでね」
まだ言いたくない。
一番にして欲しいけど、まだ彼を一番にしたくなくなった。
ブラコンなのだ、これでも。
剛は余裕で笑っているけど、実は1番の地位はまだ弟で追い抜けてないんだよ。
剛は限りなく1番に近いけど。
剛は弟相手に、嫉妬するのが正解。
弟にはこの間話していた期間限定プリンを奢ってやろうと思いながら、今は目の前の1番候補と親睦を深めることにした。
忘れていた弟の声が甘い空気を割る。
姿は見えなくなったが、玄関に私たちがいるのだから家を出ていたわけじゃなかった。
「いいところで申し訳ないんですが、俺バイト行かなきゃいけないんで通してください」
慌てて玄関を開けて弟を剛と二人で見送る形で家にあがり、弟は玄関に降りて、ふと思い出したように私たちを振り返る。
「あの、姉ちゃん一番にしてやってください。家でなかなか一番になれないんで」
行ってきます、を最後に投げ込んで弟は家を後にした。
残された私と剛で顔を見合わせる。
「由梨絵、何の一番になれないの?」
弟の最後発言は余計だった。自分で言わなきゃいけないことなのに。
「ちょっと家のことでね」
まだ言いたくない。
一番にして欲しいけど、まだ彼を一番にしたくなくなった。
ブラコンなのだ、これでも。
剛は余裕で笑っているけど、実は1番の地位はまだ弟で追い抜けてないんだよ。
剛は限りなく1番に近いけど。
剛は弟相手に、嫉妬するのが正解。
弟にはこの間話していた期間限定プリンを奢ってやろうと思いながら、今は目の前の1番候補と親睦を深めることにした。
