君の名を呼んで 2
たまには見逃がしてくれませんか
映画の撮影も後半に入って、今日はテレビ局でバラエティ番組の収録。
作品の宣伝をしてくれるってことで、すずと要が呼ばれている。
私はすずの姿を見ながら、通路の隅に立っていた。

「雪姫」

インタビューの終わった要が私に寄って来た。
その指先が私の頬に触れる。

「お前、顔色悪くない?」

「え?そ、そう?……最近寝不足だからかな」

曖昧な笑みでごまかそうとする私を要は逃がしてはくれなかった。
思いっきり両頬をつまみ上げられる。

「いひゃひゃひゃ、いひゃい!」

びっくりして奇声をあげた私に、要は笑顔のまま詰め寄った。


「ゆーきちゃん。おにーさんに話してごらあん?」

キャラ変わってますけど、要さん!!

「ひゃんにもひゃいでふ~!」

何にもないです、って言ったのに、彼は指を放してくれない。
ぶよぶよのびよびよほっぺになったらどうしてくれるのよ!


そのとき。


「おい、人の女に気安く触るな」


……。

この、声。
おそるおそる振り返れば。


「……城ノ内副社長」
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