君の名を呼んで 2
side 皇

「雪姫ちゃん、最近何か変じゃない?」

突然すずが俺の前に来て言った。

「そうか?いつも通りだろ」

俺の返事に、すずの背後に立つ朔も同意を示して軽く頷いた。

「絶対変。なんで男共はわからないの?」

食い下がるすずに、俺は仕事の手を止めた。

あの騒ぎから数日経ったが、雪姫は普段通り仕事に集中していて。
ナナミを心配はしているものの、特にあの日のことを持ち出すことは無かった。


「変、て何がだ」

相変わらず鈍感だし、毒舌だし、すずとはイチャつくし、
……どこが変なんだ?

けれど雪姫のこととなると野生の勘と、小学生探偵もビックリの推理力・観察力が働くすずだ。
無視するわけにもいかない。


「普通過ぎておかしいんです。……雪姫ちゃんとの旅行、仕事で駄目になったんですよね」

すずにはナナミに呼び出された経緯は話してなかった。
雪姫信者の彼女のことだ。
大騒ぎして俺を責めるに決まってる。
まあ怒られるのは構わないが、

「すずには映画撮影に集中して欲しいので、内緒にしておきます」

と雪姫が言ったからだってのもある。


すずは首を傾げて俺を見た。
事情を知らない割には、しっかり俺を非難する顔をしやがって。
どうせ雪姫の問題はイコール俺絡みだと思っているのだろう。
……間違いではないが。


「雪姫ちゃんずーっと前からすっごく楽しみにしてたんですよ。遅れて行く新婚旅行だって。ガッカリしたはずなのにあたしに一言も言わないの」


ーーそうか。

ふと、すずの言っている意味が腑に落ちる。
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