重い想われ 降り振られ
二人に降る雨
「どうして・・・。」

真理子は驚いて飛び起きた。

あっけにとられる幸治を余所に、橘は真理子に服を直させる。

橘は真理子を抱きしめた。

暖かな大好きな場所が、そこにはあった。

求めていた温もりと匂いと、そして声・・・。

真理子が手放した、愛おしいもの全てが今ここに存在している。

『夢じゃない・・・。』

真理子は橘にしがみ付いた。

立ち上がった幸治が橘を見て叫んだ。

「お前橘だろ?」

橘に指を差し、幸治が二人を睨みつける。

「俺は覚えているぜ。俺と同じ高校に通っていた橘だ。隣街の不動産屋の息子だろ?
ただの土地成金のしかも三男だ。」

幸治が橘を見下したように笑う。

そこへ小林が表れた。
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