重い想われ 降り振られ
鮮やかな黄色の銀杏の葉が、水面に波紋を作りだす。

いくつもの波紋は溶け合うように重なり、水面の落ち葉が揺れる。

「今年の夏にはすでに会社を立ち上げ、こっちに戻って来ていたんだが、
お前の居場所が掴めなくてな。ただ探し出すだけではお前は納得しないと思ったし、
いろんな事にちゃんとケリ付けてきた。女達の事も、ついでに俺の実家の方も
誰にも文句言われないようにしてきた。来年の春には
小さいが自社ビルの改装も済む。もぅ二度と泣かせたりしない。」

橘は真理子の手を取る。

ぎゅっと橘の胸に引き寄せられた。

「戻ってこい。」

真理子は橘の腕の中で黙って頷いた。

何故か遠くの方で騒がしい声が二人の耳に届いた。

真理子がちらっと橘の肩越しに旅館の方を見ると、先輩仲居達が騒ぎながら
二人を覗いていた。

真理子は真っ赤になって、橘に言った。

「ごめんなさい。ちょっと恥ずかしいので放してもらっていいですか?」
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