拾った子犬(系男子)は身元不明
放された手が何か物足りない。


「じゃあ、俺、ホンマに帰りますね。お邪魔しました」


ペコッと頭を下げて、帰って行った。


夏樹君が使ったマグカップを片付けながら、考える。


さっきの意味深な台詞は、どうしたらいいのだろう。


自慢じゃないが、ここ2年ほど恋愛からは遠ざかっている。

しかも、あんなイケメンにあんなこと言われて、適切に処理するスキルは元々持ち合わせていない。



・・・・まぁ、いいか。


夏樹君も今はいいみたいなことを言ってたし。


でも、ちょっとだけ、夏樹君がもう一度お礼をしに来てくれることを楽しみにしている自分が居る。


26歳にもなって、18歳相手に何やってんだとも思うけど、密かに楽しみにするくらいは許されるだろう。


夏樹君がくれた小さな紙袋をあけると、中には綺麗なケースに入った飴が入っていた。


あれ?恥ずかしいとか言ってなかったっけ?


すると、その横にはちいさな紙が。


開いてみると、手紙だった。


『千夏さんへ

 いつ渡せるかわからんから、日持ちするし、可愛かったしコレにしました。

 大人にあげるには子供っぽいかもやけど、変に意地張ってもしかたないから。

 それに、チョコのお返しは、飴がええやろ?

 泊めてくれたお礼は、別のモンを。近いうちに必ず。約束です。

                 夏樹』


恥ずかしいのは、飴じゃなくて、手紙か。


納得しながら、その手紙を大事にしまった。


その手紙があるだけで、仕事だけの生活が潤った気がする。。。


まぁ、仕事は好きだし、他に気になる人はいないし、気長に待とう。







とりあえず Fin.
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