拾った子犬(系男子)は身元不明
「駅の方に行けば、ネットカフェありますよ。」


「・・・。それって、未成年でもいけますかね?」



その質問に、黙ってしまった。今はもう深夜0時を回っている。


ゲームセンターやカラオケは未成年はアウトだったと思う。



ならば、ネットカフェはどうだっただろう・・・。



「携帯で調べてみたらわかるんじゃないですか?」



正解がわからなかった私の提案に、彼は増々困った顔になり、



「電池が切れてしまったんです・・・」



小さな声で言った。


深夜0時。携帯の電池が切れた未成年。イケメン。だが、今はイケメンが何の役にも立っていない。でもイケメン。


・・・・・・・。

ウルウル目のイケメン。この状況では何の役にも立たないと思ったが、私を懐柔するには有効のようだ。


はぁとため息が出た。


「うちのパソコンで調べますか?」


「え??!いいんですか?!」


「だって、他にあてがあるんですか?」


「ないです!!ホンマに困ってたんです!!ありがとうございます!!」


彼は私の両手を両手で掴み、ぶんぶんと振って来た。


その手があり得ないくらい冷たい。


「つめたっ!」


思わず言ってしまった。


「あっ!スイマセン!!」


彼は慌てて握っていた手を放した。


「いや、大丈夫ですよ。
 
 それより、はやく中に入りましょう。」


最後に、異性に手を握られたのはいつだろう?しかも、イケメン。


そんな悲しい考えが頭をよぎり、放された手をもったいなく感じたのは秘密だ。

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