フキゲン・ハートビート


「でもウチ、蒼依とチャンヒロはお似合いやと思うねんなぁ」


CDを大切そうな手つきで鞄にしまいながら、新奈が言った。


色白の頬にピンク色のチークが映えて、やっぱりスゴイかわいい顔をしているな、と思う。

新奈は黙ってたらいまの100倍はかわいいね。


「つきおーたらいいのに」

「もー。つきあうもなにも、たぶんあたしはトモダチだとも思われてないからね。あいつのなかで、あたしはただの知り合い」

「そんなことないって、絶対!」


なぜそう断言できる?

張本人であるあたしの言い分のほうが信憑性があるに決まっている。


「ていうかさ、蒼依的には、どうなん? いまの口ぶりやとチャンヒロはアリなん?」


そう言われてはじめて、なんとなく、はっとした気持ちになった。


「いや、アリ……? って、いうか」


異性なんだとか、つきあうとか、アリとかナシとか。

そういうのは考えたこともなかったかもしれない。


だって、それどころじゃない。

相手はトモダチになるのでさえ困難すぎる男である。


「んー、とりあえず、早く仲良くなりたいな~……って感じ?」

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