フキゲン・ハートビート


5年ぶりの再会を果たした、あのライブ帰り。

連絡先を訊ねたあたしに、彼は『おれが芸能人になったとたん』と言い、とても嫌な顔をした。


でも、誓って、それは違っていて。

違うからこそ、あのときも本気でむかついたわけで。


一般人とか、芸能人とか。

あの男と仲良くなりたいという気持ちに、そういうのはいっさい関係ない。

もしいまもそう思われているのならきちんと主張しなおしたい。


だって、たとえばいま彼がふつうの大学生だったとしても、あたしは同じことを思っていたと思うんだよ。


半田寛人と仲良くなりたい。

15歳のころは知らなかった彼のこと、もっと知ってみたい。


「え~。それってオトコとして見てるってことなんちゃん?」


納得いかないってふうに新奈が口をとがらせた。


「もー。違うってばぁ」


でもやっぱり、そんなことをストレートに言われるとチョット混乱してくるから、やめてほしい。




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