聖なる夜に、幸せを。
…ん!?
飛んで最初の目的地へ向かう途中、私は気が付いた。
サンタクロースが持っているであろう、あの大きな白い袋を…!
「クロス!プレゼントは!?」
「心配しないで良いよ。
それも魔法で出しちゃうから」
…恐るべし魔法。
何でも出来ちゃうんだ……。
最初の家は…。
「ここ、錦さんの家…?」
「そうだね」
ベランダに立つと、クロスは再び指パッチン。
カチャン…と鍵が開き、窓が開いて行く。
ベッドで寝る錦さんを起こさないよう、私たちは小声で話す。
「さ、聖奈も指、鳴らしてご覧」
「え?私指鳴らせないよ?」
「その服を着れば、誰でも鳴らせるよ」
「クロスが鳴らさないの?」
「人々にプレゼントを配るのは、パートナーである聖奈の役目なんだ」
「そうなんだ…」
私は恐る恐るクロスを真似、指を鳴らす。