アスファルトの女王
それから私は後遺症のショックで眠ることも食べることもあまりできなくなっていた。入院前は四十キロ以上あった体重も、今では二十キロ台にまで落ちている。服を脱げば、骨と皮しかないような身体からあばら骨と内蔵の数カ所の部分だけが浮き出しているのが見える。それでいて、使用頻度が増えた右腕は妙に筋肉がついていた。バランスが悪く、醜い身体だった。
 私は鏡に映った自分の身体全体を見て笑った。こんな状態になっても、生きていられるものだと思うと妙に笑えてきたのだ。
 声を立てて笑った。しかし笑い声は乾いていて、鏡に映った笑顔は不気味だった。私はすぐに真顔に戻り、右手で思い切り鏡を殴った。
 鏡の一部が粉々に砕け散った。後悔はない。美しい姿が映らないなら、こんなものに何の用もないのだ。破片で少し手を切ったようで痛みがあったが、ほとんど気にならなかった。
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