課長、ちゃんとしてください。
課長と歩いていると、色んな人が声をかけてくる。






「あっ、五十嵐さん!」





「わぉ、高橋くーん、おっはー」





「こないだ飲みに連れてってくれるって言ってたじゃないっすか。俺お誘いくるの待ってんすよー!」





「おー、めんごめんごー。ちょいと忙しかったんだよ〜。今週末どー?」





「まじっすか、やった!」






課長はからからと笑いながら、前の部署の部下らしい男の肩を叩いて通り過ぎた。





そして今度は、若い女の子たちに取り囲まれる。






「五十嵐さぁん!」





「わぉわぉ、ミキちゃんチエちゃんサトミちゃーん。今日も可愛いね〜」





「やだぁ、五十嵐さんったら!」





「あたしたちも飲みに連れてってくださぁい」





「当たり前田のクラッカーだよ〜。君たちみたいな若くてきれいな子たちと飲めるなんて、オジサン幸せだなぁ〜」






目尻をさげた締まりのない顔。




本当に困った人だ。







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