kiss of lilyー先生との甘い関係ー
「まこと…気持ちいい…」

 彼女の腕は僕の後頭部にからまり、指は僕の髪をくしゃりとかき分ける。

「僕も相当、気持ちがいい…」

 ユリは締め付けたまま腰を小刻みにくねらすから、頭が朦朧とする…



 白百合のように美しく暖かく笑う彼女。

 行動力があって信念を曲げない彼女。

 面倒見が良くて自己犠牲を厭わない彼女。

 自分の感情や欲求に忠実な彼女…



 僕は彼女ほど誰かに惹かれたことはなかった。女性と付き合ったことはあるけれど、理由は僕を好きになってくれたという単純なものだったし、別れるなら別れるで構わないと思っていた。

 だけどもしいつか、ユリが僕から走って逃げようとするならば、そのときは必ず追いかける。理解できなくても、わかり合えなくても、それでも捕まえて自分の腕のなかに入れる。

 今回は、そう言い切れる自信がある。
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