夫婦ですが何か?





ーーーーONE NIGHTーーーー







酸欠になりそう。


でも相変わらず・・・。



「ーーーっはぁ・・・、ねぇ・・・ダメ?もう終わった頃じゃない?」


「・・・まぁ、ほぼ終わってますね」



酸欠になってもその息苦しさを感じさせないほど巧みで熱っぽいキスを彼が与えてきて、その名残惜しさを示すような糸でお互いの唇が繋がる。


そして扇情的な表情の美麗な年若い夫がニッと口の端を上げると再びさして離れてなかった唇の距離を埋めようとするのを、すっと顔を背けて頬で受ける。



「っ・・・何で?生理・・・終わったんでしょ?」


「生理云々というか・・・、気分じゃないです」


「またそんな・・・・、あの時は『欲情した』って乗り気だったじゃん!!」


「だから言ったじゃないですか。こんな気まぐれはもう起きないかも。って」


「夫婦なのに夫婦の営みが気まぐれにしか発生しないのかよ・・・」


「この際セックスレスで行きましょうか?」


「無理っ!」



ああ、やはり悪戯にあの夜その身を許すような反応を見せるんじゃなかった。


そんな反省を今まさにベッドの上で彼に跨がれ覆いかぶさられている状況でしてしまう。


あの雷雨の夜、熱や恐怖で確かに感情高ぶっていた自分。


そして癒すように目の前に現れた姿にまさかこの5年で初めて心揺さぶられ求めてしまった。


そして冷静になってみれば何となく理解する。


あれは・・・・【吊り橋効果】?


恐怖心への動悸を勘違いしてたに過ぎないんじゃないかと。


それでも多少は影響あったのか、残った感情が彼の反応や行動に【可愛い】と思えるタイミングを増やし、今まさに私を見下ろしお預け食らった姿が愛らしくて仕方ない。


目の前にご馳走があるのに【よし】の合図が出なくてソワソワしている感じ?


ここで強引に無理やりしようとしないところが彼に好感抱く部分でもある。


それでも諦めきれないのか確かめるように首筋に触れる唇と軽い甘噛み。


猫が『かまって』と言うようにじゃれつくそれに抵抗するでもなく受け入れ身を任してみる。


まぁ、全く欲情しないわけでもないんだけれどね。


一回許してしまうとなし崩しに溺れそうで。


彼が?


いや、私が・・・いや、お互いに・・・。


多分彼は口だけではなく床上手だとキスだけで分かるから、私も予防線を張って拒絶しているんだ。


まぁ、本当にこの一週間は生理だったんだけれど。


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