夫婦ですが何か?
ーーーーONE NIGHTーーーー
まだ火照って情事の余韻強い体を寝なれたベッドに預けて癒す。
見慣れた部屋を横に映しながらぼんやりとしていれば、スッと視界を遮るように現れた姿が結露滴るペットボトルを差し出し柔らかく笑う。
「水分補給する?」
「・・・・・・する」
言葉短く返事を返しよく冷えたそれを受け取ると体を起こした。
受け取ったそれを開封して口に運ぶとしっかり冷えた水に口内が潤される。
それをそのまま喉に流し込みごくりと鳴らすと口を離した。
「・・・・・2回戦目・・・いきます?」
「もう?相変わらず我が奥様は貪欲で欲には忠実だよね」
口調ばかりは呆れた響き。
なのに貪欲は彼も同等。
それを示すようにやっと起こした体を支えながらゆっくりベッドに沈めてくる彼の首に腕を回す。
押し倒してみてもそのままがっつく男でもなく、それに及ぶまでのちょっとした絶妙な間を楽しむような姿。
ああ、ムカつくほど綺麗な緑は今もまた悪戯に笑うと感じる。
悪戯なのは笑みだけでなくその指先も。
私の微々たる胸の膨らみを掌で包むと転がすように揉み上げて様子伺い。
そしてようやく焦らすように顔を近づけさっきの激しさをリセットするような柔らかく濃密なキスを与えてくる。
触れてしっとり絡めて確かめあうようなキスを交わして、胸全体を遊んでいた指先がなぞるように肌を滑って体のラインを確かめる。
さすがにくすぐったいそれに身をよじれば小さく噴き出された笑いで言いたいことは分かる。
『可愛い』
言葉でなくても分かる。
愛撫やその表情が明確にそれを伝えてくるから。
むしろ口なんか開こうものならようやく高めた扇情的な空気が一気に愉快な言葉遊びに化すだけだ。
だからこそこの時間に余計な言葉の不在で私達は素直な肌で欲を埋める。
言葉より真実を伝える熱で。
再開するにはお互いに条件は十分。
じゃれつく様にお互いの肌を触れて口づけ甘噛みして、人が動物に過ぎないというような行為で気分を高め。
最後ばかりは人間特有にしっかり唇同士を密着させ、そしてグッと抵抗なく奥まで入り込む感覚に口の端を上げた。
そんな口元も彼は理解済み。
気がつきクスリと笑うと、
「エッチ・・・」
小さく囁くように私の貪欲を指摘して自分も貪欲さを見せた。
私に応えて満たすあなたも充分にエッチじゃない。
そう口にしないのは例によって。
夫婦漫才は今は不要なのだ。