夫婦ですが何か?
ーーーーONE NIGHTーーーー
呼吸を感じて。
体温を感じて。
抱かれて高まるほど愛情を感じて。
そして・・・・・。
それによって何を得る?
それでも愛おしさは狂おしい程健在。
快楽も熱情も健在。
身体的には満たされ溺れた愛欲の時間。
それでも・・・・・、
それでもなのだ。
まだ行為の余韻残る体で自分の上に脱力した彼をふわりと抱きしめる。
労わるように頭を撫で乱れた呼吸に行為の激しさを再確認。
その瞬間に思う。
彼が愛おしいと。
なのに・・・埋まらないのだ。
「千麻ちゃん・・・・・、どうする?」
しばらく最初の激しさを癒すようにベッドに横になり、同じように横たわっていた私の髪で遊んでいた彼がぽつりと呟く。
でも多分・・・少し躊躇って口にしたのではないだろうか。
投げかけられた言葉に視線をちらりと移して優しく向けられたグリーンアイを見つめる。
愛おしむように伸ばされ頬に触れる彼の手は優しいと感じる。
そして先に走る罪悪感。
「・・・・・・明日も早いし・・・・寝ます」
「うん、・・・・おやすみ・・・・・」
「・・・・・・・・・おやすみ・・・なさい」
嘘つき。
そして、心底罪悪感。
眠くもないくせにそれを理由に更なる時間の継続を拒んで目蓋を閉じた。
そしてそれを全部理解しているくせに詰るでも怒るでもなく、ふわりと微笑んで許して受け入れてくれる彼。
なんて・・・・嫌な女だと思っているでしょう?
こんな態度だと、最初に成し得た時間の感情まで疑いたくなるでしょ?
でも・・・・違うの。
嫌ってないの。
むしろ・・・・ずっともっと・・・思いは強まっていて・・・。
ねぇ、・・・呆れて嫌わないで。
そんな自分勝手な思考がぐるぐると頭を回転して酔ってしましそうだ。
お酒の悪酔いより性質が悪いと耐えるようにギュッと目を瞑り、その姿を見られたくなくて布団を顔の位置まで持ち上げたのに。
「・・・・でも、抱きしめて眠ってもいい?」
ああ、馬鹿だ私。
簡単に・・・・隠した口の端が上がる。
そして返事も返していないのにするのが当然とばかりに身を寄せギュッと抱きしめ包み込む彼の姿。
「・・・・あったかいね」
「・・・・子供って体温が高くて温かいですよね」
「・・・・・・子供はこんな裸で抱き合って寝たりしないでしょ?」
立派な大人ですよ。
そんな風に切り返してニッと笑う彼に困った人だと呆れたように微笑んで見せる。