夫婦ですが何か?
「えと・・・何でしょうか?」
「・・・・・さっきの質問ですが、」
「はっ?」
「提示してきた言葉以外の始まりの返事でもよろしいでしょうか?」
「・・・・・・・あ、」
間抜けにもようやく何を言わんとしているのか理解して、驚きのまま彼女を見つめ返していると。
そっと・・・、
柔らかく押し当てられた唇。
でも長くはなくすぐ離れた唇が期待した以上の言葉を補足と共に吐きだした。
「・・・・・大っ好きです。・・・・・お子様な味覚も、浮れた思考も、私の悩みに敏感な所も、・・・こんな私に惚れ込んでいるところも・・・・・・・・・、ああ、発情しやすい・・所も、」
「・・っ・・・はは・・・いや、・・男の子なもので・・・」
多分当初予定では『私に惚れ込んでいる』が最後だったであろう彼女の言葉。
でも付け足された一言とそれを示すように落とされた視線に苦笑い。
だって・・・だって・・・健全な男の子ですから。
「・・・・何が『発情とは違う』なんでしょうか」
「誤解です。あの時点では本当に発情じゃなくて純粋に・・・ってか、大好きな奥さんに可愛らしく跨られて告白されたらそりゃあ色々と反応しちゃうって・・・・・・・禁欲中だし・・・」
「・・・・・去勢しておいた方が他所のお嬢さんに迷惑がかかりませんかね?」
「ってか、しなくてもそんな浮気な事しないし俺。千麻ちゃんの小っちゃい胸だけで充分」
言いながら細身の体をぎゅっと抱きしめ服の上か胸元に口づける。
本当に・・・千麻ちゃんだけで充分なんだってば。
「調子のいい・・・」
「大好きだよ・・・・その無表情も、敬語も、突っぱねたような切り返しも・・・・・・見えにくい愛情表現も、」
「・・・・何の事だか、」
「少なくとも・・・千麻ちゃんの作るご飯は全部俺好みの味に合わせてくる所とかね、」
「・・・・2人分分けて作るのが面倒なだけです」
でも・・・俺の方を選んでくれるじゃない。
そう追及しなかったのは充分に彼女が照れているのが分かっているから。
あからさまな態度よりこうやってチラチラと時折甘い姿見せる千麻ちゃんが最高に好き。