ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
大パニックの中、胸元に伸びてくる手に体を強張らせた時、
会議室のドアが開けられた。
壊れそうな勢いでバタンと開いたドアから、
久遠さんが飛び込んできた。
久遠さんの前髪は乱れて、肩で息をしているところを見ると、
エレベーターを使わずに、階段を走り下りてきたようだ。
私を見て、久遠さんが大きな息を吐き出した。
それからツカツカと、こっちに向けて歩み寄る。
その手にはスマホが握られていた。
堂浦さんの前に立ち、久遠さんは、スマホ画面を彼の顔面に突き付けた。
「おい、このふざけたメールは何だ?
こいつをからかうなと、言っておいただろう!」
ふざけたメール?
その言葉が気になって、久遠さんの手からスマホを抜き取り、読んでしまった。
それは2分前に、堂浦さんから送られてきたメールだった。
『俺っち今、夏美ちゃんとオフィスラブ中(ハート)
今すぐ来ないと、食べちゃうぞ(ハート×2)
会議室Aにダッシュだぉ(ブチュ)』