ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「すみませーん!
誰かいませんかー!」
何度も大声で呼びかけてみたけど、誰にも気付いてもらえない。
届かないと思いながら一応ジャンプしてみたが、
やっぱり届かないと、理解するに終わった。
「ミカコさん、どうしよう……」
手の中の小さな彼女に話し掛けると、体を丸めて震えていた。
雨は変わらず降り続いている。
ミカコさんのチャームポイント、
ハート模様の茶色の毛も、冷たく濡れていた。
ハッとして、慌ててミカコさんを服の中に入れた。
小ぶりの胸で申し訳ないが、
胸の谷間で温める。
季節はまだ夏だけど、雨に濡れたら体温が奪われる。
私も寒いけど、私より小さなミカコさんはもっと寒いに違いない。
胸元だけはこれ以上濡らさぬよう、ベニヤ板の破片を傘にする。
ミカコさんを守って、私は一人、
頭から雨に打たれていた。