ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「夏美、ありがとう……」
きつく抱きしめられ、耳元で囁かれた。
たちまち心臓がバクバク言い始める。
抱きしめられて舞い上がるほどに嬉しいけど、
今の私は、ずぶ濡れの泥だらけ。
「あの……、久遠さんも汚れちゃいますよ?」
一応、注意事項を述べてみた。
それなのに、体に回される腕は緩むことなく逆に力が込められる。
彼は笑って言った。
「泥で化粧して、いつもよりイイ女になったんじゃねぇの?」
冗談なのは分かる。
でも、イイ女と言われて単純に喜んでしまった。
もしかして、井戸に落ちたおかげで女子力がアップしたとか……?
彼の胸に頬をつけて、そんなおかしな事を考えていた。