ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


「夏美、ありがとう……」



きつく抱きしめられ、耳元で囁かれた。



たちまち心臓がバクバク言い始める。



抱きしめられて舞い上がるほどに嬉しいけど、

今の私は、ずぶ濡れの泥だらけ。



「あの……、久遠さんも汚れちゃいますよ?」



一応、注意事項を述べてみた。



それなのに、体に回される腕は緩むことなく逆に力が込められる。



彼は笑って言った。




「泥で化粧して、いつもよりイイ女になったんじゃねぇの?」




冗談なのは分かる。

でも、イイ女と言われて単純に喜んでしまった。



もしかして、井戸に落ちたおかげで女子力がアップしたとか……?



彼の胸に頬をつけて、そんなおかしな事を考えていた。




< 145 / 453 >

この作品をシェア

pagetop