ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
久遠さんは木の枝に懐中電灯を引っ掛けると、
私に向けて手を伸ばす。
その手に掴まるのではなく、
胸元からミカコさんを出して、
差し出した。
彼は驚き、目を見開いた。
「見つけたのか……」
「はい!そこの粗大ごみの山で見つけたんですけど、
最後にヘマしちゃって、こんなことに……」
早くミカコさんを渡したくて、
彼の手に向けて精一杯腕を伸ばした。
久遠さんも手を伸ばす。
ミカコさんを受け取るのかと思ったが、そうではなく、
彼が最初に掴んだのは、私の手首だった。
手首にグッと力がこもり、すごい力で引っ張り上げられた。
ふわりと宙に浮いて、井戸から一気に飛び出した体は、
逞しい二本の腕にしっかり抱き留められていた。