ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


久遠さんは木の枝に懐中電灯を引っ掛けると、

私に向けて手を伸ばす。



その手に掴まるのではなく、

胸元からミカコさんを出して、
差し出した。



彼は驚き、目を見開いた。




「見つけたのか……」



「はい!そこの粗大ごみの山で見つけたんですけど、

最後にヘマしちゃって、こんなことに……」




早くミカコさんを渡したくて、

彼の手に向けて精一杯腕を伸ばした。



久遠さんも手を伸ばす。



ミカコさんを受け取るのかと思ったが、そうではなく、


彼が最初に掴んだのは、私の手首だった。



手首にグッと力がこもり、すごい力で引っ張り上げられた。



ふわりと宙に浮いて、井戸から一気に飛び出した体は、

逞しい二本の腕にしっかり抱き留められていた。



< 144 / 453 >

この作品をシェア

pagetop