ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


キスの理由を尋ねる私に、久遠さんはサラリと答えた。




「羨ましそうな顔してたから」




それは、つまり……。



チュッチュされるミカコさんを、
羨ましいと思って見ていたのは事実。



それに気づいた彼は、ついでに私にもキスしてくれた。

そんな理由みたい。




今のキスを喜んでいいのかダメなのかを考えて、

ダメでしょ!と結論を出した。



ミカコさんになりたいと思ったこともあったけど、

やっぱりこんなキスは間違っている。



私は……私は……

ハムスターじゃないんだからっ!!




キスした後も、久遠さんだけは普通の調子で、

ミカコさんと戯れつつ、ビールを飲んでいる。



私一人、真っ赤な顔して心で叫ぶ夜だった。





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