ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


いい人そうな彼を疑ったりしないけど、

言葉を濁して、ごまかした。



“誰にも情報を漏らさない”


久遠さんとの約束を破らないよう、不用意な会話に気をつけないと。



新ビールという言葉を口にしたくないのに、


なぜか彼は、

「気になるから教えてよ」

と、しつこく食い下がる。



「大したことじゃないので……」



頑張ってはぐらかし続けていると、やっと諦めてくれた。



堂浦さんとの出会いのキッカケについては、聞くのを諦めた彼だが……


次に持ち出した話題は、確信犯的な内容だった。




「研究開発部の久遠さん。
あの人、すごいよね。

ここ10年、うちの会社から出る新ビールには、ほとんど全てあの人が関わっているらしいよ」



「そ、そうなんですか。知らなかったです……」




< 161 / 453 >

この作品をシェア

pagetop