ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
好感度が更にアップした彼は、
私の隣で話し続ける。
「庶務の三国さんとは、何回か話したことがあるよ。
あの人、優しいよね。
俺もあんな上司が欲しかったな」
三国主任が優しいという神話は、ここに来る前に崩れていた。
でも、直属の上司を褒められて悪い気はしない。
「私もそう思います」なんて、
好青年の彼につい賛同してしまった。
顔を見合わせ微笑み合う。
在庫チェックを手伝ってくれるし、褒め上手だし、
なんてイイ人なのだろうと思っていた。
彼は備品を数えて私に数字を伝えながら、
今度は別の人物の名前を出してきた。
「田丸さんは、営業部の堂浦さんとも親しいの?」
「堂浦さんですか?
親しいと言うか……ちょっとしたキッカケで、話すようになりました。
毎日からかわれてばかりですけど」
好青年の彼が、数える手を止めて私を見る。
ニコニコと無害な笑顔を浮かべて、
「ちょっとしたキッカケって何?」
と聞いてきた。
「それは新ビ……いえ、何でもないです。
話すほどのことじゃないので……」