ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


や、やっぱり!と気付いた時には遅かった。



じりじりと詰め寄られ、

コンクリートの壁に背中をつけて、逃げ場をなくした。




「脅されたって、何も教えませんから!」




在庫管理ファイルに隠れながら、
そう言った。



口ではキッパリ拒否しても、内心焦っていた。



人気のないこんな場所で、手荒なことをされたらどうしよう……


そう考えて、冷汗が流れる。



以前会議室で、久遠さんに言われた言葉を思い出していた。



『お前は隙がありすぎる……』



あの時は押し倒され、かなり効いたはずなのに、

相変わらず、注意力も防御力もない私って……

悲しいほどにアホ過ぎる。



今さら反省したところで、状況は何も変わらなかった。



壁際まで追い詰められ、絶体絶命のピンチ。



怖いくらいに真顔で私をジッと見ている彼は、


いきなり……



私の足元に土下座した。



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