ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
ところが、言われたのは謝罪でも言い訳でもなく、
命令的な言葉。
「唇を噛むな。血が滲んでいるぞ。
お前はすぐに怒る。怒れば論理的思考を失ってしまう。
まずは怒りを鎮めろ。
冷静になれ」
これでも必死に冷静でいようと頑張っているのに……
論理的思考を失う?
すぐに怒る、感情的思考の持ち主で悪かったわね……
久遠さんの腕が伸びて、親指と人差し指で私の下唇に触れてきた。
「噛むなと言っているだろう」
その言葉で、ついに怒りは我慢の閾値を超えた。
彼の手を払いのけ、大声で怒りをぶつけてしまった。
「こんな時に、何で上から目線で命令するのよ!
常識ある大人なら、まずは謝るべきでしょ?
サイテーです!
久遠さんなんて……大嫌いっ!!」