ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
壁を向いて横になる私に、
「どうした?
具合でも悪いのか?」
心配する声がかけられた。
体調不良ではないけど、本当の理由は言えないので、コクリと頷く。
「熱があるんです。
風邪を移したくないので、近づかないで下さい」
今は久遠さんと話したくなかった。
心が落ち着きをなくしていると、自覚している。
こんな時に口を開けば、理不尽に彼を責めてしまいそう。
布団を引き上げ、頭までスッポリ被った。
「出て行って下さい」
そうお願いしたのに、彼は出て行かない。
ベットが軋む。
寝ている私の横に、腰掛けたみたい。
長い腕が伸びてきて、布団を捲られてしまった。
大きな手の平が私の額に触れる。
「平熱だな」
そう言われ、嘘はアッサリ見破られてしまった。