ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
頬を赤らめる私に、
「どこへ行く気だ?」
と質問が投げ掛けられた。
こんな風に行き先を確認されたのは、強制同居の時以来だ。
まるで束縛するような物言いに、
首を傾げた。
「どうして、そんなこと聞くんですか?」
彼の意図が知りたくて思わず聞き返した私に、
久遠さんは瞳を鋭くしてこう言った。
「三日前、堂浦がおかしなことを言ってきた。
お前の行動が怪しいから、気をつけろと。
今日はどこへ何しに出掛けるんだ?」
ギクリとした。
怪しいことではないが、
結婚相談所やお見合いパーティーに参加したことは、久遠さんに言っていない。
知られたからと言って、どうなるわけでもないが、
何となく秘密にしたかった。
あのチャラ男が告げ口したのかと一瞬焦ったが、
違うみたい。
久遠さんは腕組みして私を見下ろし、こう言った。
「なぜ黙っている?
まさか……変な宗教にはまったんじゃないだろうな?
最近は普通のセミナーだと称して勧誘を企む、悪徳宗教団体があるそうだ。
お前は騙されやすいから気をつけろ。
既に壺や印鑑を買わされてはいないだろうな?」