ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
怪しい行動……。
堂浦さんの曖昧な告げ口が、なぜ宗教に結び付くのだろう。
深読みし過ぎというより、心配する方向を間違えている。
まだお肌が水を弾く、24歳の私を前にして、
普通なら男でも出来たのかと、色恋方面を心配するものではないだろうか?
ズレた心配をしている久遠さんに呆れながら、言葉を返した。
「宗教でもセミナーでもないので、安心して下さい。
知人と食事の約束をしているだけです。
遅くても、22時には帰ります」
その説明で久遠さんは「そうか」と納得してくれた。
「気をつけて行ってこい」
と言葉を残し、自分の部屋に戻って行った。
会話はアッサリ終了し、ドアは再び閉ざされた。
それを見て、小さな溜息をついた。
さっきは心配する方向を間違えていると思ったが、
考えてみれば、久遠さんが男絡みで私を心配するはずなかった。
思い違いをしているのは、私の方。
私に彼氏ができても、そんなこと久遠さんには関係ない。
私はただの居候。
想いは一方通行で、決して返ってはこないのだから。