ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
ボーイさんにコートを預かってもらい、窓際の二人掛けのテーブル席へ。
ビールを頼もうと思っていた私に、片岡さんが言う。
「お酒は、僕に任せてもらえませんか?
実は学生の頃、バーテンダーのアルバイトをしていたんです。
ここのマスターとは顔なじみなので、
夏美さんにピッタリのオリジナルカクテルを僕が作ってきます」
任せてもらえませんか?と聞かれたけど、
選択肢は与えられていない。
「お願いします」としか答えられない聞き方だった。
片岡さんはバーカウンターの裏側へ入って行き、マスターらしき人物と親しげに会話していた。
二人の後ろの壁には、様々な種類の酒ビンが飾ってある。
カクテル用の綺麗な色のついた洋酒の横に、ビールサーバーがニ台、並んで置かれていた。