ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
私を狙った理由は体目的とか、
そんな単純なことではない気がした。
もしや……久遠さんとの同居を知った上で、私に近づいたのだろうか?
彼の狙いは、久遠さん?
庶務の仕事をしている時より何十倍も頭を働かせて、
そんな結論を導き出した。
こくりと生唾を飲み込み、恐る恐る彼に尋ねる。
「あなたは、誰……?
私を人質に、久遠さんに何かしようと企んでいるの……?」
彼は缶コーヒーを飲みながら、ノートパソコンをカタカタ言わせて、何かの作業をしていた。
作業の手を止め、視線を画面から私に向ける。
ニヤリと薄気味悪い笑顔を見せて、こう言った。
「へぇ、騙されやすい馬鹿女だと思ったのに、案外鋭いじゃないか。
そうだよ。俺は片岡じゃない。
プロフィールはデタラメだ。
本名は教えないけど、これだけは教えてあげる。
俺はRED'sビールの人間だよ」