ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
裸なのは、彼ではなく私。
彼はズボンのチャックを下ろしただけの状態だったが、
そんな言い訳をして、慌てて私のもとに戻ってきた。
顔の部分だけ毛布を捲り、私を脅す。
「声出すなよ。動くなよ。気付かれんなよ。
変な素振り見せたら、もっと酷い目に合わせるからな」
早口で言い終わると、毛布をまた頭まで被せた。
枕元にバサバサと、何かが置かれた気配がした。
きっとスーツのジャケットやコートで、
毛布からはみ出している、私の手と拘束紐を隠しているのだと思う。
隠し終わり、慌ただしく戻っていく彼。
「仕事関係の大事な物があるから、触るのはやめてくれ。
入口から見るだけにしてくれよ」
そんな会話が聞こえた後、カチャリとドアが開けられた音がした。
その直後に「うわっ!」と叫ぶ彼の声と、
「成敗だにょ!」
そう息巻く、ホテルマンの声がした。