ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
気づかれるなと脅されていた私だが、そんな命令に従うわけない。
体を揺らし「ん゙ーん゙ー!」と声を上げ、
必死に存在を伝えようとした。
駆け寄る誰かの足音がして、パッと毛布が捲られた。
明るくなった視界に見えたのは、
堂浦さんの顔だった。
「夏美ちゃん!
あ〜良かっ……わっ!ゴメン!」
勢いよく捲られた毛布は、頭だけ出した状態でまた被せられた。
私のバスローブは前合わせが全開のまま……
決して文句は言えないが、堂浦さんに胸を見られてしまった。
堂浦さんは口に詰められていたネクタイを取り出してくれて、
それから、手足を縛る紐を外しに掛かかっていた。
私は放心状態で、堂浦さんではなく、別の人物を見つめていた。
部屋の中央で、卑怯者と対峙しているのは……
久遠さんだった。
ずぶ濡れの黒いコートに、髪から雨の雫を垂らし、
ぶかぶかのホテルマンの衣装を着たにょにょ部長を、荷物を持つように小脇に抱えている。