ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


その姿に胸が熱くなる。



連絡が取れなくなってから数時間、

久遠さんは私を捜して、見つけ出してくれた……。



説明されなくても、冷たい雨に打たれたその姿を見れば、

必死さが伝わらないわけなかった。



久遠さんの姿が、涙で滲んでぼやけてしまう。



嬉しさと有り難さ。

それから申し訳なさが、一気に胸に込み上げてきた。



自由になった両手で涙を拭い、ベッドに身を起こした。



はだけたバスローブを寄せて、
胸元をぎゅっと握りしめた。




「お前は……久遠礼士……」




RED'sビール社員の卑怯者が、ファイティングポーズで身を守りながらそう言った。



久遠さんは顔を卑怯者に向けたまま、視線だけ私に流してこう聞いた。




「俺は……間に合わなかったのか?」




その質問の意味するところは、犯されてしまったのか?ということだ。



裸にバスローブ姿なんて、あたかも行為後のようだけど、

辛うじて処女は奪われずに済み、
セーフだ。



あと一分でも遅ければ、アウトだったに違いない。



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