ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


彼は社食に来ない。


だからこそ、こうしてのんびりとお昼を楽しむことができる。



そう思っていたのに――




視界の隅に、白い物が映った。



ハッとして食堂入口を見ると、

白衣の久遠さんが入ってくるところだった。



なんで!?



慌てた私は、思わずテーブルの下に潜り込んでしまう。



でも、隠れようとした行動が、
反って目立ってしまったみたい。



コツコツと足音を響かせて、

黒い革靴が、私の前でピタリと止まった。



「おい」



怒っているような低音ボイスも聞こえ、

隠れても無駄なのだと理解した。




テーブル下から這い出て、
彼の前に立った。



身長差30cmほどの私達。


恐る恐るその顔を見上げると、

予想通り、ご立腹の様子。




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