ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「三国はどうした?
あいつと離れての別行動は、禁止すると言っただろう?」
「ええと……その……
三国主任はお忙しいようなので、
お昼だけは別行動でもいいかな?と……」
しどろもどろに、適当な言い訳をする私。
助けを求めるべく、由香を横目で見たが、
役には立たないと知る。
由香は目を輝かせ、
彼と手帳の間で、視線を往復させていた。
イケメンの外見的特徴を、幸せそうにメモしている最中だった。
周囲がザワザワし始めた。
他の課のOL達が、久遠さんに好奇の目を向け、
ヒソヒソ話している。
「先輩、あの白衣の人誰ですか?
素敵ですね!」
「あ〜久遠くんね。社食に来るなんて珍しい。
目の保養にはなるけど、やめときな。
研究開発部の連中は、変人ばかりだよ」
社内でレアキャラ的存在の、彼についての話し声の他に、
「庶務課のあの子、何で怒られてるの?」
そんな、私に対する反応も聞こえてくる。