ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
スマホを奪ったことは、ぬか喜びに終わってしまった。
仮に力付くでそのノートPCを奪っても、ダメということだ。
自宅PCに会社のPC。そんな所にある画像を消しに行くのは不可能に近い。
結局私の裸画像は、取引に使われてしまった。
「分かった。
BX-091はお前にくれてやる」
そう言ってくれた久遠さんを、
悲しく思うしかできなかった……。
久遠さんは黒いコートの内ポケットから、何かを取り出した。
それは一枚のSDカードが入った、
小さな透明のケース。
そのSDカードと奪ったスマホの二つを、黒川に投げて渡した。
久遠さんは溜息をついて言った。
「こうなる可能性も考えて、BX-091のデータは用意してきた。
スマートフォン用のSDカードで悪いな。
家には未使用の記録媒体が、他になかったんだ」
そのSDカードはスマホ専用で、
ノートPCに直接差し込むことができないみたい。
SDカードを受けとった黒川は、
勝利を確信して、ヘラヘラ笑いながら、
気前よくこう言った。
「ふーん、まぁスマホ用SDカードでもいいよ。
スマホとPCを繋げば取り込めるし、一手間かかるけど同じことだ。
偽物じゃないかだけ確認させてもらうから、ちょっと待ってな」