ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
由香は「しまった」という顔をしていた。
「だ、大丈夫だってば!
えーと、これから言われるんじゃない?
ほら、婚約指輪をまだもらってないと言ってたでしょ?
その内、指輪と一緒にきちんとしたプロポーズと愛の言葉が……」
一生懸命フォローしようとしてくれる由香には悪いけど、
私の不安は大きくなるばかり。
婚約指輪に関しては、こんな感じだ。
「久遠さんにカードを渡されたの……。
これで好きな指輪を買ってこいって……」
「一緒に買いに行くんじゃなくて、買ってこいと……?」
「うん……」
クール過ぎる久遠さんの態度に、
由香はとうとうフォローの言葉を失った。
婚姻届に浮かれて舞い上がっていた私は、ショックの中に突き落とされていた。
心に暗い色した不安が、もやもやと広がっていく。
久遠さんは、私のことを愛しているのだろうか……?