ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
四千円プラス財布丸ごとを握りしめ、とぼとぼとリビングから出て行こうとした。
すると、「夏美」と呼び止められた。
久遠さんがソファーから立ち上がり、私に歩み寄る。
大きな手の平が私の額に触れた。
「熱はないな。
お前、何か変だぞ?どうした?」
温かい手の平は額を離れ、心配そうに私の頬に触れた。
こんなヘタレな女を心配してくれるなんて……。
落ち込んでいた心に、春風が吹き抜けた。
ぎゅっと抱き着いて、ライトブルーのシャツの胸元に顔を埋めた。
「久遠さんが好きです」
「私を好きですか?」とは聞けないけど、
自分の気持ちを口にすることはすんなり出来てしまう。
溢れるほどの気持ちを“好き"の二文字に乗せて伝えると、
ひょいっと体を持ち上げられ、床から足が離れた。
そのままソファーまで連れて行かれ、仰向けに寝かされる。