ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
目にじわりと涙が浮かんだ。
一緒に暮らしている久遠さんが、
急に遠い人に感じてしまった。
私達は違いすぎる。
結婚を諦めて別れることが正解だと、思い始めていた。
でも……私にそれが出来るだろうか?
こんなにも好きなのに、この気持ちを殺して、久遠さんを自由にしてあげられるのだろうか?
涙が頬を伝って流れ落ちる。
泣き出した私に、由香が慌てた。
「わっ、ゴメン夏美!
間違ったこと言ったつもりはないけど、ちょっと言葉がキツかったね!ゴメン!」
その時、給湯室のドアが静かに開けられた。
入ってきたのは、白衣の久遠さん。
「ど、どうして……」
どうして給湯室なんかに来たのかと聞くと、
「企画部の部長から呼び出された。
応接室に行って、戻ったところだ」
そんな答えが返ってきた。