ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
私はミカコさんと一緒に、久遠さんをここから見送る。
「夏美、マンションの片付けを押し付けて、悪いな」
「そんなの、いいですよ。
急な呼び出しだから、仕方ないです」
「お前、海外初めてだよな?
ロスの空港まで向かいに行くが……大丈夫か?
一人で飛行機に乗れるか?」
「乗れますよ!
子供じゃないんだから、大丈夫です!」
失礼な心配に、ハムスターみたいに頬を膨らませてみせると、久遠さんは笑ってくれた。
スーツケースから手を離し、久遠さんが私を抱き寄せる。
「向こうの生活でお前が困らないよう、出来る限りの準備はしておく。
何も心配いらないからな」
「はい……」
温かな胸と、逞しくて優しい腕の感触……。
それを忘れないように、記憶にしっかり刻みつける。