ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
田んぼ以外にも、目を引く緑がある。
それは、ホップ畑。
ビールの主要原料の一つ“ホップ"の栽培に、この辺りの気候が適していて、
良質のホップの生産地として有名だ。
この時期の田んぼを“緑の絨毯"と呼ぶなら、
ホップ畑は“緑のカーテン"と呼ぶべきか。
高い支柱にネットを張り、そこにツルを巻き付け上に伸びていくのがホップだ。
田んぼとホップ畑が広がる地帯の真ん中に、水色の外壁の大きな平屋の建物が見えてきた。
それが私の今の職場、カントリー麦酒醸造所。
青空ビールとは比べ物にならない、小さな地ビールの工場兼会社で、
支社も営業所もなく、ここ一カ所のみだ。
工場前のバス停で下車して、駐車場脇を抜け、入口から中へ。
事務室に入ると、40代男性、駒野事務長と、
先輩事務員、35歳女性の吉本さんが、困った顔して立ち話をしていた。