ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


川原田さんのご夫婦は、気さくでいい人達だと思う。


いつもニコニコして、私を楽しませようとしてくれる。



何もなければ、私ももっと心を開きたいところだけど、

嫁候補に上げられているようなので、おいそれと打ち解けるわけにいかず、困るだけだ。




「あの、ホップの生育状況を見せていただきたいのですが……」




呼び出されたのはそんな用件だから、それを済まさない内には社に戻れない。



私のその言葉を待っていたかのように、倉庫の陰から姿を現したのは、

川原田家のご長男。



息子さんの登場に、お父さんが手招きする。




「おっ、耕平、ちょうどいい所に来た!

夏美ちゃんにホップ見てもらいてぇから、今呼んだとこだ。

お前が畑さ案内せぇ。

ワシらはあっちの畑に行っでっからな」




いつもは三人揃って出迎えてくれるのに、今日はなぜご夫婦二人だけなのかと思っていたけど、

そういうシナリオが作ってあったみたい。



ワンパターンだと、私が面白くないと思ったのかな?


何だろう……。

私に落ち度はないはずなのに、気を遣わせて申し訳ないという、おかしな気分になる。



< 409 / 453 >

この作品をシェア

pagetop