ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
少し歩いて耕平さんが、足を止めた。
私は足元を見て考え込んでいたため、気づかず彼の背中にぶつかってしまった。
農作業で鍛えた筋肉質の背中に弾かれ、危うく転んでしまいそうになったが、
彼が腕を伸ばして支えてくれたので、事なきを得た。
「夏美さん!大丈夫ですか!?
俺が突然立ち止まったりすっから……すんません!
本当にすんません!」
ぼんやりしていた私が100%悪いのに、耕平さんは何度も謝ってくれる。
「あの、耕平さんは悪くないですよ?
そんなに謝られると、困りますので……」
「そ、そうですか!
謝ってばかりで、すんません!」
この人……いい人なんだよね。
純朴で偉ぶる所がなくて、真面目で一生懸命で……。
この人と結婚したら、平穏な幸せを手に入れられそう。
でも……。