ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「夏美さん……?」
耕平さんに呼ばれて、ハッと我に返る。
いけない。
一応仕事中なのに、トリップしてしまった。
愛しい人の面影を慌てて頭の奥にしまい込み、耕平さんに営業スマイルを向ける。
「川原田さんのホップ、順調に成長していますね。
葉も緑が濃くて、ツルもたくさん伸びているし、今年も良いホップが収穫できそうですね」
ホップについての知識は素人に毛が生えた程度のものなのに、そんな風に褒めてみた。
早く社に戻りたい。
申し訳ないけど、期待されても、私は川原田家の嫁にはなれないから……。