ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
突然の再会にゆっくり喜んではいられなくて、
そのあと従業員達は、それぞれの持ち場に戻り、私も久遠さんと離れて事務室へ戻った。
デスクで仕事をしながら、吉本さんが興味津々に聞いてくるので、
質問に答える形で、私と久遠さんのことを話して聞かせた。
聞き終えた吉本さんは、なぜかうっとりしている。
「素敵……大恋愛ね……」
その感想に作業中の手を止めて、
ん?と首を傾げた。
どうしてそんな反応になるのか、わからない。
私と久遠さんのラブストーリーは、半分以上おバカ話のような気がするけど。
ともあれ、それまで川原田家の長男推しだった吉本さんに、
私と久遠さんの関係を認めてもらえたのは良かった。
吉本さんは少し困った顔して、こう言った。
「それじゃあ……川原田さんに何と説明したらいいかしら?
何も言わない訳にいかないし……ねぇ?」
やっぱり、言わなければならないのだろうか……。
気が重い。何と説明していいのかわからない。
『私、結婚しますから、もう諦めて下さいね』
とか?
これは、駄目か。
会社にホップを卸してもらっている関係上、角が立つ言い方は避けないと。