ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


久遠さんは長い足を組み、指先でペンをクルリと回し、

ニヤリと笑って私を見ている。



「夏美……」



彼が何かを言おうと、口を開いたその時、

ドアの外にガタガタと物音を聞いた。



「しー!見付かっちゃうでしょ!」



誰かが誰かに注意する、小声にならないヒソヒソ声も聞こえた。



まさか!?と慌てる私は、走ってドアまで行き、勢いよく開けた。



社長室にドドドとなだれ込んできたのは、見慣れた面々。



吉本さんに、千花ちゃん。

駒野事務長に、副工場長の出来内さん、それから……。



総勢10名の団体様が、仕事をさぼって聞き耳立てていたと知り、

驚いた後は、郵便ポストより顔が赤くなった。




「な、何やってんですかーっ!!」




慌てて廊下を駆け出し、逃げて行く不届き者達。



チェック済みの書類を振り回して、追いかけようとしたら、

楽しそうな笑い声と優しい声が、私の背中に投げかけられた。




「夏美、帰ったら一緒にビール飲もうな?」




走り出した足を止め、社長室を振り向いた。



愛しい旦那様に「はい!」と笑顔で答えた後は、

心に秋晴れの青空が広がった。



怒りっぽい私のことだから、この先もケンカすることがあるだろう。



それでも、いい。

それが、いい。



ケンカの後の仲直りのビールは、
きっと格別に美味しいと思うから。




     【終わり】




After storyまで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございます。

この物語は、これで終わりにしたいと思います。

たくさんの応援、心より感謝申し上げます。

新作を公開した時には、ファンメールにてお知らせさせていただきます。
m(__)m

< 453 / 453 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:655

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「興味がないなら興味を持たせればいい。 俺は狙った獲物は逃がさない。覚悟しておけ」 ハンターか肉食獣しか言わなそうな台詞が似合うのは、 彼くらいのものだろう。 たぐいまれなる美貌の持ち主に言われると、 意思とは無関係に心臓が波打った。 そっとしておいてほしい婚約破棄された平凡OL × 攻め落としたい俺様CEOのオフィスラブ。 2025.10.5 完結公開 改稿前の文章です。
鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「私に可愛げを求められても困るわよ」 鉄の女社長と呼ばれる絢乃は、取引先の社長とビジネス結婚をする。 早く子供を作って離婚するつもりが、巧みな彼に絆されてーー 「あなたはいい人ね」 「足りないな。それじゃ喜べない」 「どう言えばいいの?」 「愛してると言ってくれ。俺は愛してるよ。最高の妻を」 社長×社長のしっとり大人のラブストーリー。 2025.6.3公開。 改稿前の文章です。
表紙を見る 表紙を閉じる
子供の頃からの片想い。 兄妹のような関係が続くのは苦しいけど、 崩すのも怖くて。 そんなある日、 「俺は男だぞ。わかっているのか?」 「そっちこそ、私を女だと思っていないくせに」 同じベッドで寝ても、なにも起きないはずなのに―ー。 「お前は成長して大人になった。もう妹だとは思えない」 片想いこじらせ中のフリーライターと、 エリート警視正のじれラブ。 (ベリーズ文庫二月刊で発売予定です。こちらは改稿前の文章です。文庫版には番外編がついています)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop