ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
叫ぶと同時に、
「よし、終わったぞ」と言われ、
甘美な刺激からも解放された。
アタフタと久遠さんの膝から下りて、乱れたスカートと呼吸を整えた。
そんな私に久遠さんは、分厚い書類を渡してこう言った。
「ほぼ全てやり直しだと、駒野事務長に伝えてくれ。
悪いが、これじゃサインできない」
渡された夏期事業報告書をパラパラ捲ると、赤ペンでびっしり添削してあった。
紙の余白が、真っ赤に染まるほどに。
私にあんなハレンチ攻撃をしかけながら、完璧に、しかも超速で社長業務をこなしていたなんて……。
ただただ驚く私は、昨日のケンカなど、すっかり意識の外にあった。
目と鼻と口を全開にして、まじまじと久遠さんのハンサムフェイスを見つめるだけ。