意地悪彼氏の攻略法。


迎えたクリスマス当日。


何も予定がなくなったあたしは、部屋でひとりボーッと過ごしていた。


テレビからはクリスマスソングが流れて、イルミネーションを見に来ているカップルにインタビューなんてしている。


テレビという箱の中から、幸せいっぱいという雰囲気を振りまく人たちを見るのは、今のあたしには辛かった。


もう、どうでもいいや。


クリスマスの日に自分から振ってやるんだって、目標みたいに思ってたけど、それももうどうでもいいことだ。


「奏多の思い通りになって、嬉しいでしょ……」


リモコンでテレビを消すと、そのままベッドに体を預けるように倒れ込む。


目を閉じると、少ないけれど奏多と過ごした日々が走馬灯のように流れてきて、気付いたら枕を濡らして泣いていた。


もう、奏多のためになんて泣かないって決めたのに


嫌いだって何度も自分に言い聞かせて、今日まで過ごしてきたのに


どんなに自分の気持ちを抑え込んでも、溢れてくる気持ちは全部思ってることと反対。


まだ好きなんて、認めたくないのに、どうして嫌いになれないの――。


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